ただの爪割れじゃないかも?犬の『爪床(そうしょう)腫瘍』

愛犬の爪が折れたり、指先が腫れて治らないことはありませんか?それは「爪床腫瘍」かもしれません。症状、手術などの治療法について詳しく解説します。

はじめに:治らない「爪のトラブル」に注意
「散歩中に爪を引っ掛けたのかな?」 「爪が割れて出血しているけど、そのうち治るだろう」

愛犬の足先にこんなトラブルを見つけたとき、多くの飼い主様はまず「怪我」を疑うと思います。しかし、抗生物質を飲んでも腫れが引かない、爪がまたすぐ折れてしまう……そんな時は、単なる怪我ではなく「爪床腫瘍(そうしょうしゅよう)」という病気が隠れている可能性があります。

今回は、発見が遅れがちな指先の腫瘍について、飼い主さんが知っておくべきポイントをまとめました。

 

1.

爪床腫瘍とは?
爪床腫瘍とは、爪の根元(爪床)やその周辺にできる腫瘍のことです。 初期段階では「爪周囲炎(ばい菌が入って腫れる)」と見分けがつきにくいため、診断がつくまでに時間がかかってしまうことがよくあります。

代表的な種類
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん): 犬の指にできる腫瘍の中で最も多いタイプ。ジュクジュクするような表面の変化が出ることも多いです。
軟部組織肉腫:指が腫れるような症状が多いです。
悪性黒色腫(メラノーマ): 進行が早く、転移しやすい悪性度の高い腫瘍です。黒色であることが多いです。
肥満細胞腫: 皮膚のあらゆる場所にできますが、指先にできることもあります。

 

 

2. こんな症状はありませんか?
もし愛犬に以下の症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。
・爪が根元から折れている、または抜け落ちた
・特定の指だけが赤く腫れ上がっている
・爪の付け根から出血や膿が出ている
・足先を執拗に舐めたり気にしたりしている
・散歩に行きたがらない、または足をかばって歩く(跛行)

注意点: 抗生物質を投与すると一時的に腫れが引くことがありますが、腫瘍の場合は薬をやめると再び腫れてきます。「治ったと思ったらまた腫れた」を繰り返すのも特徴の一つです。

3. 検査と診断方法
以下のような手順で診断を行います。

レントゲン検査: 腫瘍が指の骨(末節骨)を溶かしていないか確認します。骨が溶けている像(骨融解)が見られれば、腫瘍の疑いが強まります。

細胞診・組織生検: 針を刺したり組織の一部を切り取ったりして、顕微鏡で細胞の種類を特定します。これで確定診断を行います。

4. 治療法
爪床腫瘍の治療において、第一選択となるのは「外科手術」です。そして、残念なことに指ごと切除する断指手術となります。腫瘍を完全に取り除くためには、爪だけでなく、骨を含めた指そのものを切除する必要があります。

「指を失って、歩けなくなるのでは?」
この不安を持つのは当然です。しかし、実際には犬は指を1本失っても、日常生活にほとんど支障なく歩いたり走ったりすることができます。

痛みを伴う腫瘍をつけたまま生活するよりも、手術で悪い部分を取り除いてしまった方が、痛みから解放され、元気に走り回れるようになるケースがほとんどです

※腫瘍の種類や進行度によっては、手術後に抗がん剤治療や放射線治療が必要になる場合もあります。

5. 早期発見がカギ
爪床腫瘍は、早期に発見して適切な処置(手術)を行えば、根治(完全に治る)が期待できるケースも多い病気です

一方で、発見が遅れて転移してしまうと、命に関わる事態になります。

まとめ:違和感があればすぐに動物病院へ
「たかが爪割れ」と放置せず、以下の場合はセカンドオピニオンも含めて獣医師に相談してください。

爪の怪我が2週間以上治らない
抗生物質が効かない、または再発する
爪の形がおかしい
愛犬の足先を守れるのは、毎日接している飼い主様だけです。日頃から足先のチェックや爪切りの際に、異常がないか見てあげてくださいね

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