若齢犬で時々みられる、口蓋裂について説明します。

前歯部分の骨と口蓋突起の接合部の癒合不全を「一次口蓋裂」といい、口蓋裂や前歯の形成不全や前歯の歯列に異常を認めます。

一方、前歯の後ろの真ん中の癒合不全を「二次口蓋裂」といいます。上顎に穴が空いてる状態です。

猫より犬での発症が多く、さらに短頭種・純血種での発症率が高い傾向にあります。

犬ではブルドッグ、ペキニーズ、ボストン・テリアなどで、猫ではサイアミーズ(シャム)での発症が多いとされています。

 

原因

生まれつき生じる場合と生まれてから生じる場合があります。生まれつき生じる要因としては遺伝のほか、環境などが関与しているとされており、胎生約20~30日齢にこれらの癒合不全が生じることが報告されています。

先天性口蓋裂は、軟口蓋の異常を伴うことも多いです。また、硬口蓋欠損を伴わない軟口蓋裂は口蓋の真ん中や片側にみられることが多いです。

後天性口蓋欠損の原因は、歯周疾患のほか、咬傷、交通事故や高所からの落下に伴う外傷、感電ショック、異物による影響、慢性感染症あるいは口蓋腫瘍に対する放射線療法などが挙げられます。特に猫では高所から落下した際に口蓋裂が認められることが多いです。

 

症状

先天性のものでは哺乳困難、鼻汁、咳、くしゃみ、呼吸困難および成長不良などがみられます。

 

治療

口蓋裂では、誤嚥性肺炎の気道感染から肺炎が生じることがあり、外科手術を行わない場合は予後不良になることもあります。

したがって、本疾患を認めた場合は胸部レントゲン検査や臨床症状、年齢などを総合的に判断し、できるだけ早期に外科手術を行う必要があります。

上顎に穴が空いているようであれば、口蓋裂の可能性があるので、一度専門の病院で診てもらいましょう。

 

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