僧帽弁閉鎖不全症って何?

何もなくても、定期受診。

中年齢~高齢の小型犬、特にチワワさんやトイプードルさんには、僧帽弁閉鎖不全症という心疾患がよくみられます。この疾患は、外から見えない心臓の内部でこっそり進行していき、症状が出て、飼い主様の眼からみて「何かおかしいな」と気づくときには既に末期的状態まで進行している、そんな怖い一面をもっています。しかし、この病気になると、初期段階から聴診で心雑音が聴取されることが多いので(まれに急激に発症することもありますが)聴診をまめに行っていれば、初期の段階で病気を発見することができます。予防注射やフィラリア予防、健康診断などでの定期的な受診には、このようにこっそり進む疾患の早期発見の機会を作る、という側面もあります💡

僧帽弁閉鎖不全症って、何?

心臓は一方向に血液を送り出すポンプであるため、逆流を防ぐための逆止弁が内部にあります。そのうちの一つ、左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁です。この弁膜やそれを支える腱が粘液水腫様変性という変化により、分厚くなったり伸びたり切れたりして、しっかり血液を止めることができなくなり、漏れが生じたのが僧帽弁閉鎖不全症という状態です。

 

この症例は、僧帽弁の前尖がズレてしまい、後尖との間に隙間ができて、そこから逆流がでていました。

もう一つ、こちらの症例は粘液水腫変性によって僧帽弁前尖がぼんぼりのように変形しています 。

どちらの状態においても、これらの原因によって左心室から左心房への逆流が生じ、心拡大が進行していき、病状が進むと、呼吸困難に至る可能性があります。

内科療法では、残念ながらこの僧帽弁閉鎖不全症を治すことはできませんが、定期的なエコー検査で新拡大の進行度合いを確認し、進行を遅らせ、QOLを保つことを目標として投薬を行っていきます。

うちの子、心臓の音、大丈夫かな?心雑音、でてないかな?と気になったら、気軽にご来院くださいね。

 

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