猫の歯に多い病気は?
猫の口腔トラブルは、実は非常に多くの猫が抱えている身近な健康問題です。
「口臭が気になる」「食べる量が減った」「口元を気にしている」
こうした様子が見られるとき、猫は何らかの歯の病気を抱えている可能性が高いと言えます。ところが猫は、痛みを隠す動物です。症状があっても表に出さないため、飼い主が気づいたときには、すでに進行していることが少なくありません。
■ 猫に多い代表的な歯科疾患一覧
| 疾患名 | 特徴・概要 |
| 歯周病 | 歯垢・歯石から細菌感染が進み、歯肉や歯槽骨が溶ける。 |
| 破歯細胞吸収病巣 | 猫特有の病気。歯の一部が溶けていく。 |
| 口内炎 | 歯肉粘膜に強い炎症が起きる。 |
| 破折・咬耗 | 歯髄が露出すると、感染や痛みを起こす。 |
■ 歯周病 見えない進行に要注意
歯石が炎症を起こし、歯肉の赤みや出血、歯のグラつき、やがては脱落に至るまで悪化することもあります。
【主な症状】
- 口臭がする
- よだれが多い
- 歯ぐきが赤い、腫れている
- 物を噛まない
- 食欲があるのに食べられない
【放置リスク】
歯周病は、歯を支える骨を溶かし、顎の骨折や鼻腔への炎症波及、全身への感染を招くこともあります。
猫は症状を隠しやすいため、日常的な行動変化の観察が大切です。「なんだか食べ方が変わった」「口元を気にする仕草が増えた」など、ささいな変化を見逃さないようにしましょう。
■ 破歯細胞吸収病巣 猫特有の疾患
この病気は、猫に特有の歯の病気で、犬や人間では見られません。歯が少しずつ溶け、やがて歯が崩壊していく病気です。
【特徴】
- 全体の猫の約50〜70%が罹患しているとも
- 原因は未解明
- 強い痛みを伴うにも関わらず、外からは見えにくい
【症状の例】
- 食べ方にムラがある
- 急に怒る、触られるのを嫌がる
- よだれが増える
【治療】
破歯細胞吸収病巣が見つかった歯は、抜歯が必要です。
■ 口内炎
免疫異常やウイルス感染が関係して、歯肉や口腔粘膜が広範囲にわたって炎症を起こす状態です。非常に痛みが強く、食事や日常生活に大きな支障をきたします。
【症状】
- 痛がる
- 歯ぐきが真っ赤
- 口臭がひどい
- 食欲不振、体重減少
- 顔の周囲を触られるのを極端に嫌がる
【治療】
- 抗炎症剤や免疫抑制剤でのコントロール
- 抗生剤でのコントロール
- 全ての歯を抜歯
■ 歯の破折・咬耗
猫も高齢で歯がもろくなっていると、歯が折れたり、すり減ることがあります。神経が露出すると強い痛みを感じ、感染を引き起こすこともあります。
【見られる症状】
- 口の片側でしか噛まない
- 食べ物をこぼす
- 歯の変色
- 顔を触られるのを嫌がる
【治療】
- 抜歯
■ 歯石・歯垢の蓄積
歯石は歯の表面のプラークが石灰化したものです。
わずか数日で形成が始まり、軽くこすっただけでは除去できなくなります。
【リスク】
- 歯ぐきの炎症が始まり、歯周病へ進行
- 全身疾患につながるリスク
【対応】
- 歯石がある場合は、麻酔下での歯石除去が必要です
- 歯石除去後も定期的なケアで再付着を防ぐことが重要です
■ 自宅で気づくチェックポイント
「猫の歯の病気は気づきにくい」とされますが、以下のようなサインが見られた場合は、すぐに受診を検討しましょう。
- 食べ方がいつもと違う
- 急に口臭がきつくなった
- 顔や口元を触られるのを嫌がる
- 食欲があるのに食べない
- よだれが増えた
- 歯や歯ぐきの色に変化がある
- くしゃみや鼻水が出ている
■ 予防の重要性と動物病院でできること
歯の病気の多くは、予防と早期発見によって進行を防ぐことができます。
【動物病院で行えること】
- 歯石の確認
- 麻酔下での歯石除去、ポリッシング、抜歯など
- 飼い主様へのホームケア指導
■ まとめ 猫の歯は放っておいてはいけない
猫の歯や口腔内の病気は、見えにくく、気づきにくいことが特徴です。しかし、そのまま放置してしまうと、強い痛みや摂食障害、全身疾患につながることもあります。
「ちょっとおかしいかも?」と感じたその時が、病院にご相談いただくベストタイミングです。
何か気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
