ボクサーで多い歯肉増殖症について説明します。
歯肉増殖症は歯肉組織が増殖する疾患のことです。歯周ポケットが深くなるため歯周病リスクが高まります。
原因
歯肉増殖症の原因は3つあります。
1.炎症性
慢性的な炎症により、歯肉増殖症を引き起こすことがあります。適切に炎症が取り除かれると改善します。
2.薬物性
特定の免疫抑制剤(シクロスポリン)、血圧を下げる薬(ニトレジピン、ニフェジピン)、ケイレンを抑える薬(フェニトイン)などによって引き起こされることがあります。投薬をやめると改善することが多いです。
3.遺伝性
ボクサーやコリー、グレート・デーン、ダルメシアン、ドーベルマンなどの特定の犬種で発生します。残念ながら遺伝的な問題なので、完全に治すことは困難です。
臨床的特徴
症状は軽~重度まであり、重症例では、歯肉が重度に増殖して、歯を完全に覆うこともあります。
診断
経過観察、口腔内レントゲン検査、病理組織学的検査などを行います。
特定の免疫抑制剤(シクロスポリン)、血圧を下げる薬(ニトレジピン、ニフェジピン)、ケイレンを抑える薬(フェニトイン)などを使用している場合は投薬を中止して、改善するか経過をみます。
腫瘍の場合、骨が溶けることがあるため、鑑別のために口腔内レントゲン検査を行います。
確定診断には増殖した歯肉を切除して病理組織学的検査を行う必要があります。
治療
適切な歯肉切除と歯肉形成を行ないます。

