犬と猫の「鼻腔内腫瘍」〜ただの鼻炎?早期発見のために知っておきたいこと〜
愛犬や愛猫が「くしゃみをしている」「鼻水が出ている」という時、「風邪かな?」「アレルギーかな?」と思われるかもしれません。もちろん、そういった感染症や炎症であることも多いのですが、特に中高齢(シニア期)のワンちゃん・ネコちゃんの場合、長引く鼻の症状には注意が必要です。
今回は、飼い主様にぜひ知っておいていただきたい「犬と猫の鼻腔内腫瘍(鼻のガン)」についてお話しします。

鼻腔内腫瘍とは?
鼻腔内腫瘍とは、鼻の中(鼻腔)にできる「しこり(腫瘍)」のことです。犬でも猫でも発生し、残念ながら鼻の中にできる腫瘍の多くは悪性(ガン)である傾向があります。
鼻の奥は脳や目と隣接しているため、進行すると周囲の組織を破壊しながら大きくなる局所浸潤性が高いという厄介な特徴を持っています。
歯が悪いと思ってたら鼻の腫瘍だった!ということもあり、気づくのが非常に難しいです。
気づいてあげたい「初期サイン」
鼻腔内腫瘍は外からは見えないため、初期段階では気づきにくい病気です。以下のような症状が続く、あるいは抗生物質を飲んでも治らない場合は、一度詳しい検査をおすすめします。
・鼻水が治らない。
・鼻血が出る
・くしゃみが止まらない
・顔が腫れてきた、左右の顔の形が違う
犬と猫での「なりやすい腫瘍」の違い
犬の鼻腔内腫瘍:犬では「腺癌(せんがん)」という種類が最も多く、比較的鼻の長い犬種(ダックスフンドやレトリーバーなど)でやや発生が多いというデータもありますが、どの犬種でも起こり得ます。
猫の鼻腔内腫瘍:猫では「リンパ腫」と呼ばれる血液のガンが鼻に発生するパターンが非常に多いのが特徴です。リンパ腫の場合は、後述する治療への反応が比較的良いケースも多くあります。
どうやって診断するの?
鼻腔内腫瘍が疑われる場合、以下のような検査を組み合わせて診断を進めます。
・レントゲン検査:鼻の骨が溶けていないかなどを確認します。
・CT検査:鼻腔内腫瘍の診断において最も重要な検査です。腫瘍がどこまで広がっているか、脳へ影響への浸潤や転移を立体的に正確に把握します(全身麻酔が必要になります)。
・組織生検(バイオプシー):腫瘍の一部を採取し、病理検査に出して「何という名前の腫瘍か」を確定させます。正しい治療法を選ぶために必須の検査です。
・鼻腔鏡検査:当院では鼻の中を観察できる装置がありますので、腫瘍を直接観察することができます。
治療の選択肢について
腫瘍の種類や進行具合によって、最適な治療法は異なります。以下に二つの治療法をあげます。
〇放射線治療
犬の腺癌などに対しては、現時点で最も効果が期待できる治療です。腫瘍を小さくし、症状を和らげ、生存期間を延ばす目的で行われます。(※放射線治療は専門の施設へのご紹介が必要となります)
〇抗がん剤治療
猫に多い「リンパ腫」の場合は、抗がん剤(化学療法)が非常に良く効くケースも多いです。放射線が選択できない場合に適応となります。
最後に〜長引く鼻水は放置しないで〜
鼻腔内腫瘍は、確定診断がついた時にはすでに進行していることが多い病気です。だからこそ、「ただの風邪だろう」「年齢のせいかな」とせず、症状が続く場合は早めにご相談ください。
早期発見できれば、それだけ治療の選択肢も広がり、ご家族と動物たちが穏やかに過ごせる時間を延ばすことにつながります。
少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
鼻腔内のガンのCT検査の一例です。
片方の鼻は細かな骨がしっかりとあり、空気(黒色)で満たされています。一方で、片方の鼻は骨が解けてガンで満たされています。


